夏近し  松岡尚子

真正面の衝突にあらずさはあれど全治三ヶ月の娘の額
夏近し夏と言ったら生ビール娘の怪我回復待ちて飲まんか
夏近し夏と言ったら花火なり稲毛の大会に今年は行かな

綾子

去年の2月4日  mohyo

雪を置くあけぼの椿葉の間(あひ)に一輪咲きをりピンク色して

細糸の絡まる様(さま)の母の文字声高らかに母詠み給ふ

老い母のたまゆら冴えて詠み給ふ歌はよきもの力あるもの

綾子

母の人形  mohyo

昔から母の見る夢問題をわれ等にしらしむ習いぞ祈れ
沖縄をふりむきもせぬ母よ母西洋人形足枕にす
薄汚れぺちゃんこ人形母に似てレースの帽子ハイカラ少女

綾子

雨の朝に

そうめんの束のこりいて昨日の熱暑をさます朝雨の音

夏雨はむんむんとせりひんやりと肌に涼しい今朝のさびしさ

ふたたびを着かず放れず沖縄の伝統芸に生きるサプライズ

豊子

夏野  JUN

夏の野に潮風渡り讃岐富士

ひとのため祈ることあり遠花火

丘の上ホテルは今も巴里祭