沖縄舞踊  松岡尚子

生死分かつ別れありしとぞ船出前を女らの舞ふ沖縄舞踊

満月の光を浴びて不動なるをみなかすかに面上げたり

鴨狩りの男踊りは軽快にて鴨と仲良くステージを去る

霞ヶ関の茶房に居れば白髪の紳士が二人短歌(うた)の話する

綾子

短歌研究(八月号高野公彦選)   mohyo

母の裡を切なく聞く夜白々とドクダミ草の花ゆれやまぬ

足の爪切りやる吾に女男のこと艶めき語る母を憎めり

小さくてきれいな爪持つ母の足八十九歳をマッサージする

「ご家族と話すときには母になる」青年福祉士吾に告げをり

綾子

梅雨明け   佐野豊子

廃品にパソコン、テレビ、椅子をだし12000円なりきょうも梅雨

廃品の回収業者はものおきの蜘蛛の巣キライむしコワイらし

フルーツのやんばるじぇりー沖縄の梅雨明けとともに届きたり

豊子

新聞記事

三面の記事からかならず読んでゆく放火、殺人、詐欺のつづきを

新聞は一社紙のみの知識なるも社説するどければテロを危惧す

急速に興味失うきらめかずワールドカップ敗退したれば

豊子

登り窯  JUN

伝へたき言葉は胸に梅雨に入る

梅雨空へ煙笠間の登り窯

紫陽花の花を急かせて小糠雨

実をあまた付けて寂しも枇杷の照る