馬場あき子選  短歌研究5月号

故郷へ帰るすべなし吾を背負い祖母が歌ひし琉球古謡

祖母の背で不安といふを知り染めぬ引揚者に吹く基隆の風

泣くことは安らぎでした引揚者家族の長女三歳のわたし

ああー泣けば泣いてもよいと祖母も泣く引き揚げて三重の山道を行く

三線のリズムに一人踊りでて次々踊るも馴染めざるまま

綾子

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