黒牛  佐野豊子

傷口のバンソウコウを剥すようはらりほろり幼日のうた

照る月に雪面まぶしまびけずに祖母に背負われていた飢餓の子

どしゃぶりの由良川だった黒牛が大声でなき流されていた

豊子