稽古場そうじ納め

楊枝もち床のすきまのゴミをとる檜舞台に顔ちかづけて

みんなみの昔おとめは膝をつき両手で直(すぐ)に舞台をみがく

先生の遺影にわれらこれまでのふるえてしまう緊張を恋う

寒風のふきやむ庭に一枚のガラスふきあう内側の人と

幼子の二足でたちてイサソイソイリズムにのれば手拍子のわく

跡取のつらぬく道は一つにてそを選ばせる飛天の道あれ

冬空の青すむ外にでたくなり窓にのりだす二歳の心

そうじ終え天丼、手うちうどんなどふるまわれおりいただきます

うちそろい稽古場をでて丘くだる夕富士かすか見てきょうは無し

途中下車武蔵小杉でのりかえるいつも別れの手をふるわたし

豊子

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