アカンサスのえにし

宮 英子氏の「葉薊館雑記」を読んでいる。アカンサスの葉は古代ギリシャやローマ建築の柱頭文様に用いられた。大きな葉に深い裂け目があり、夏、長い花茎を伸ばし唇形の灰白色の花を穂状に出すが、花はほとんど美術作品にあらわれない。

アカンサスを読んだ宮 柊二の作品

久が原に人を見舞いてたばはりしあかんざす草朝々に勢(きほ)ふ

透明に庭の空気の夕べとなり大き葉の影をアカンサスは置く

このアカンサスは宮 柊二が鎌田敬止氏(明治26年〜昭和58年)からいただいたアカンサスで鎌田氏をたずねた歌人土屋文明・近藤芳美の庭に根づいたと記されてあった。

鎌田氏によるとギリシャ航路の船員が魚を釣って刺身をつくったが、わさびがない。そこで形の似ているアカンサスの根をおろしてみたが味が全くちがう。結局日本に持ち帰ったその根は高値を呼び岡田三郎助らによってひろまっていったそうである。

これを読んで私は東京・府中の実家に大きくお化けのような葉がアカンサスだと思った。入院中の母が宮先生のお宅からいただいたギリシャの植物だといっていた。

給油のために立ち寄ったギリシャ空港と白い建物が多かったギリシャと青い空を思い出した。

綾子

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