老魚  佐野豊子

老人は赤子ではないあの声をなんとかしてよ「お口をあーん」

寝たきりの母が指さす死者たちは天井にいて残念見えず

封筒の糊しろをつけ切手貼る何をしててもうっすら寒い

水を得た老魚そののち水底にひっそりとして尾ひれそよがす

詩 ー手ー  NANACO

今回は、詩を掲載します。
中学2年生の詩です。
自分の手をとおして自分をみつめ、ひとの温かさを感じ、自然の恵みを素直にうけとめています。
ー手ー        NANAKO
わたしの手はなんでも知っている
わたしの好きなところも
わたしの落着く場所も
わたしの手はなんでも知っている
大切な人の手の温かみも
そよ風のやさしさも
だからわたしは
わたしの手にだけはウソはつけない
どんなに強がってみても
どんなに隠してみても
ぜったいにばれてしまう
わたしの手はなんでも知っている
四季の移り変わりや太陽のあたたかさ
命あるものの大切さや自然のやさしさ
わたしの手はわたしのいちばんの理解者
だって 生まれたときからの
長いつき合いだから