素顔  佐野豊子

青空に溶けゆくように逝きたもう礼拝奏楽者九十三歳

素顔にてたった一度の死化粧まじまじ見れば微笑まんか

ひとはみな塵にかえる 神の霊やどるからだに寿命のあれば

病気せず百までいきる人あれどベッドの母にまなぶ忍耐