短歌と感情 宮 柊二先生 (4)

短歌と感情(昭和四十三年五月十八日)  −長狭高校講演速記録より抜粋

先生に問い詰められて黙っている机の下の光目にしむ

勉強してこなかったもんだから指されても答えられなかった。どうした、なんて問い詰められて返事が出来なくて、黙って、机の下に差し込んでいる日を
見てい
るんだ。僕にも覚えがあります。教科書を立てて購読本を読んでいたら、指されてしまった。僕の方が悪かったんだから仕方が無かった。だからそのときの先生
は鞭をあげられた。しかし、今になるとその先生が懐かしくて仕方がない。

その先生はもうなくなりましたが私が四十幾つの頃何十年ぶりで
私を訪ねてくださった。「宮さん、いらっしゃいますか。」なんてはじめは丁寧でしたが「こら!肇(本名)!!」、四十幾つになった私をつかまえて、昔の先
生になってしまって「短冊かけや」なんて命令してました。

勉強する生徒を私は好きですけれど、勉強を怠けて、こういう歌をつくる生徒も私はまた大好きです。そういう生徒をどんどん叱られる先生もまた大好きです。

綾子