2003年7月
幻の若き日 投稿者:まつなお 投稿日:2003/07/27(Sun) 21:10 No.1702
若き日に友と入りたる喫茶店「スカラ座」有ればなつかしく見つ
幻の若き日のわれ走り来て我に寄り添ふ新宿の街に
青春は痛々しけれ底なしの泥沼の如き恋はもしたり
皿の音男女の会話聞きながらわが内熱く落ちゆく珈琲
陽炎のようにゆらゆら歩みゆく若者たちはいやし求めて
五階まで初めて上がれば世界中の宗教書並ぶ紀伊国屋書店に
葱は葱茄子は茄子なり歌舞伎町の賑はふ街に過せし青春
早朝に胸重くして汗垂りぬそのまま動かず過ぎ去るを待つ
Re: 幻の若き日 JUN – 2003/07/30(Wed) 08:28 No.1703
2番目幻の~、3番目青春は~、7番目葱は葱~が気に入りました。8番目早朝に~は心配です。お大事に。アクセス数に貢献しようとお邪魔しました。
ご無沙汰しました 投稿者:秀子 投稿日:2003/07/27(Sun) 16:53 No.1701
さっきまで娘の読みゐし週刊誌のページを捲る独りの部屋に
遭難せしわが子の命と引き替えに「死んでもいい」とふ言葉が胸打つ
文庫本整理せむとて手に取れば亡き友の写真ページより出で来ぬ
じわじわと淋しさの立つパソコンのページ開けど君の声なく
朝毎の散歩に会ひし聾唖の人は柔和な顔にてわが犬を撫づ
雑草の繁みの中に放置されし自転車は錆び雨に濡れゐる
リュック背にスーツ姿の男性が自転車漕ぎて颯爽と行く
寒き夕暮れ 投稿者:mohyo 投稿日:2003/07/27(Sun) 01:54 No.1700
クーラーの鈍きひびきの不意に消えしーんと夕暮れに宅急便届く
ベーコン焼く匂いに気づき目覚むれば7月10日は寒き夕暮れ
おさなごの笑顔そら豆の形して横向きに寝るときタオル持つ
希望を捨てず 投稿者:まつなお 投稿日:2003/07/25(Fri) 16:11 No.1699
先行きの不安はあれど今日ひと日確かに生きて希望を捨てず
お互いに見知らぬ者が黙しつつ朝の電車に詰め込まれゆく
ひったくり 投稿者:mohyo 投稿日:2003/07/18(Fri) 23:33 No.1698
愛犬の散歩路ここでふん入れバッグひったくられたと昂ぶりて言う
ひったくり事件さまざまに言ひ合ひて人散りゆけばいつもの夕暮れ
ミッキーバスに乗る計画をまた言ひぬピンクパンツにシャツ合わす娘(こ)の
俳句で御免2003-7 投稿者:JUN 投稿日:2003/07/15(Tue) 10:23 No.1697
夾竹桃(きょうちくとう)咲きて狂ほし紅の色
父の杖替はりの彼(か)の日夏薊(なつあざみ)
白足袋に男気競ふ夏祭
青年を迎ふる妻子(つまこ)青時雨(あおしぐれ)
お喋りも暫し無口のかきごほり
胃カメラ 投稿者:秀子 投稿日:2003/07/12(Sat) 23:51 No.1696
明日には胃カメラを呑む動揺を隠し髪切る行き付けの店
病院の回転ドアを踏み込めばロビーは広くホテルにも似て
早馬 投稿者:hyara 投稿日:2003/07/11(Fri) 23:54 No.1695
体力の落ちきし姑が下痢をして命の綱の温灸(おきゅう)くゆらす
墨絵にて山路をはしる霊柩車そお掛け姑は日々部屋籠る
君がいて心頼もしみずからに言い聞かせつつ昼餉を作る
早馬(はゆま)にて返事が届く田村氏にメールうつため話題をさがす
米中ロどちらもちがう日本語で考えている世界の平和
娘(こ)に従ひて 投稿者:mohyo 投稿日:2003/07/09(Wed) 23:31 No.1692
土手に出て娘(こ)に従ひて歩みおり雨ふる前に柴又目指し
霧雨は傘を差しても濡れる雨 児にタオルかけ傘かしげゆく
露天風呂に深く息吐き眼を閉じて肩までつかれば雫音する