2003年6月

2003年6月

無題 投稿者:秀子 投稿日:2003/06/27(Fri) 23:14 No.1678

払いても又テーブルの定位置に蝿が戻りてしきりに手を擦る
公園のフェンスの際に塊りてピンクのねじ花螺旋に咲けり
肌寒き雨のひと日を部屋に居る猫と仔犬と蝿とわたしと

鳳仙花 投稿者:秀子 投稿日:2003/06/26(Thu) 11:28 No.1677

実に触るれば種の弾けし鳳仙花友と戯れし遠き日の庭
もつれ合い離れあいして軽やかに飛ぶ蝶二つ白の光れリ

新芽 投稿者:ひゃら 投稿日:2003/06/25(Wed) 17:19 No.1676

実のならぬ去年の不幸も艶やかに笑いとばして蜜柑の新芽
十代は父似といわれこのごろは母似、祖母似の情念ほろり
仕事よりきついきついと生活の雑事に疲れ寝言いう君

母在らば 投稿者:秀子 投稿日:2003/06/24(Tue) 08:13 No.1675

六月は母生れし月、逝きてのち話題にするも絶えて久しき
母在らば今母あらばと思ふこと多くなりたり子らも巣立ちて

笛吹きケトル 投稿者:秀子 投稿日:2003/06/23(Mon) 09:56 No.1674

川べりの小さき石に日がな立つ白鷺の子の何を待つらむ
水はじき走る車の遠ざかるを目覚めの耳にぼんやりと聞く
新幹線「こだま」の如き音鳴らし笛吹きケトルは湯の湧くを知らす

あやまち 投稿者:ひゃら 投稿日:2003/06/22(Sun) 02:16 No.1673

悲しみに塩ぬるようなことを言い日々あやまちを侵してわれは
励ましの友のメールはひやしんす「へこむな、ふくらめー」画面に一行
濡れ窓に雨のあじさい見てあれば飛行機とぶらし高きところを
温灸を毎朝姑(はは)にしておりぬ小康たもたせ吾はでかけます
日本のナイチンゲール井深八重の伝記読みつつ言痛(こちた)き思い

ネッ友 投稿者:mohyo 投稿日:2003/06/21(Sat) 00:14 No.1672

キンジス治験国府台病院で受けるといふネッ友の本名知らぬと気づく
顔憶えnoriさんとのみ知る人の本名問ひてメールを飛ばす
ホームページの写真で知りゐしその顔の●●●●さんに声をかけたり

注記 キンジス→筋萎縮性側策硬化症 ネッ友→ネットフレンド

雨音 投稿者:秀子 投稿日:2003/06/18(Wed) 17:43 No.1671

雨傘を叩きつくごと降りしきる激しき雨音今日とふ日は好き
雨に散るランタナの花側溝に筏となりて風に揺れをり
ぬか床を朝な夕なにかき混ぜてキュウリ一本ふたりに余る

平戸の旅 投稿者:秀子 投稿日:2003/06/15(Sun) 07:38 No.1668

平戸よりフェリーで渡りし生月に今はブルーの大橋架かる
佐世保発九十九島の島々を遊覧船は縫ひて巡りぬ
薄暗き納戸に潜みオラショ誦ふカクレキリシタンの信仰哀し
生月の海上ホテルの夜は更けて女六人ワインに弾む
宿泊の目覚めに友の点てくるる抹茶を飲みてホテルを発ちぬ

Re: 平戸の旅 奥村晃作 – 2003/06/18(Wed) 11:26 No.1669

旅行詠5首楽しく読ませていただきました。

俳句で御免2003-6 投稿者:JUN 投稿日:2003/06/13(Fri) 16:33 No.1667

白玉や卓に並びし孫ひ孫
更衣(ころもがえ)螺旋(らせん)に進む齢(よわい)かな
水辺無き我家に咲きし花菖蒲
足止めの雨の駅舎や蝸牛(かたつむり)
釣り人に日傘近づく渚かな

(短歌で更に御免)
磯に死す同胞(はらから)越えて往(ゆ)く蟹の研ぎ澄まされし命なるかな