2003年5月
鳩の遠鳴き 投稿者:史人 投稿日:2003/05/09(Fri) 09:43[1599]
朝餉する窓辺の椿に初鳴きす鶯一羽枝伝ひつつ
木々芽吹き陽も暖かき昼下がり鳩の遠鳴き眠りを誘ふ
鮮やかな緋色に映える君子欄を大きく画帳に描き終へたり
毎日の習ひとはなる起き抜けの仏語講座のラジオ番組
朝いちばんラジオ講座のフランス語寝惚け眼でテキストを開く
Re: 鳩の遠鳴き 投稿者:奥村晃作 投稿日:2003/05/10(Sat) 09:05 [1599へのレス]
久しぶりにおじゃましました。
史人さんの作。少し手を入れて、2首採りたいと思います。
木々芽吹き陽ざしの温き昼下がり眠りを誘ふ鳩の遠鳴き
鮮やかな緋色に映える君子欄画帳に大きく描き終へたり
クレーン車 投稿者:秀子 投稿日:2003/05/08(Thu) 19:47 [1598]
クレーン車のさながら火を吐くゴジラの如く家屋を壊す躊躇もなしに
クレーン車は轟音立てて屋根を衝く思い出までも崩し去るごと
一瞬の事故に横とう愛犬の口は泡吹き震え怯ゆる
不注意で事故に遭わせし愛犬をしっかり抱きぬ吾は詫びつつ
降りそぼつ夜更けの窓を裂くごとく激しき光稲妻のする
住人のごと 投稿者:秀子 投稿日:2003/05/05(Mon) 23:29 [1597]
目の前を身を翻してツバメ飛び住人の如くビルに消え入る
重々し装束付けて田村舞う娘を見つむ師の心中如何に
バラ 投稿者:秀子 投稿日:2003/05/04(Sun) 00:20 [1596]
幸せの象徴のごと家々の庭にこぼれ咲くバラやポピーの
母の口調で 投稿者:秀子 投稿日:2003/05/02(Fri) 13:38 [1594]
男の児三人ベンチに肩並べ地面に届かぬ小さき足振る
スケートで遊ぶ男の子(おのこ)に幼き姉は母の口調で気をつけよと言ふ
「実習生」の腕章付けしレジの子(男の若者)のお釣りを呉るる白き指にて
てふてふ結び 投稿者:mohyo 投稿日:2003/05/02(Fri) 13:30 [1593]
祖母といて数多毛虫を焼き捨てて祖母から習ひしてふてふ結び
手に触れし毛虫の記憶てふてふ結び春の午後(ひる)また甦る
ぼんやりとみており 投稿者:mohyo 投稿日:2003/05/01(Thu) 03:19 [1592]
タンポポの綿毛がある日とぶように沖縄を出でたり祖人等(おやびとら)
水平線 海 空 雲をぼんやりとみており恋しみんなみの国
野心 若さ みなぎりて小さき島には収まりきれず外国(とつくに)目指せり
父のこと思い出す日は悲しみの吐息をメールで妹に伝ふ
移る季節 投稿者:絢子 投稿日:2003/05/01(Thu) 02:48 [1591]
亜麻色の枯野を犬は一点の光りとなりて遠ざかりゆく
輝けるもの少しずつ遠くなる頃となりしか我も季節も
風花のたゆとうさまに白き蝶枯野ゆきゆく我を離れず
頬を埋む黄のマフラーに止まりたる蝶とわけあう陽の温とさを
日も風も細りし草もそれぞれに移る季節の色に染まれり
われを目指しひたすらなるもの未だある光りをまとい走りくる犬