ふーしゃんの短歌ワールド
┏☆★☆━━━━━━━━━━━━34号 2003年9月27日 by もひょ ┓
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★☆★☆★ ふーしゃんの短歌ワールド ★☆★☆★
われわれは作品によってみずからの生を証明したいと思う。□ 宮 柊二 □
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次号は10月中旬予定
ふーしゃん(母)は短歌結社『多磨』の北原白秋に師事。『コスモス短歌会』 故 宮 柊二先生に師事現在にいたる。台北第一高女を経て台北師範卒。小学校教員を数年経験後,軍医であった父との結婚により退職。日本基督教団東京府中教会員。
□■□ 目次 □■□
短歌 *** 新着・厳選20首紹介
俳句 *** 俳句で御免2003-8
添削 *** 奥村晃作短歌教室より
エッセイ*** 母とのつきあい方
するどく光る 投稿者 ふーしゃん
肋骨にかうやく二枚並べ貼りくさめの痛ししゃっくり痛し
教会で甘やかさるる吾れなれや三歳の桃ちゃんまでわが手をひくも
五十三日を三十七号室に入院す立川第一相互病院
置時計の秒針こつこつ動くたびするどく光るまよなかである
講評 奥村晃作先生
物に付いて具体的に鋭く歌われていて、4首共に大変によい歌と思いつつ読ませて頂きました。
ていだ(太陽) 投稿者 ひゃら
多磨墓地に亡父を見たり納骨のあの日あのとき姉とふたりで
わが前に大団円の太陽(ていだ)いてぐらりと沈む黒山の端に
職退きし夫に慣れつつ凡日の盆の夕空むなさわぎする
饒舌にものいうおろか繰り返し帰るせつなの手のひら熱し
お知らせ 第二歌集「ていだ」を出しました。短歌研究社 2500円(税別)
「ていだ(太陽)」によって改めてその出自のかなしみを問い直すことに情熱を燃やした。戦火に洗われて消えてしまった沖縄の家系、ことに祖母の育みによって養われた心の沖縄を取り戻そうと「琉舞」の稽古を復活した。
彼女はクリスチャンであるが、その信仰はどこか古代的な琉球の祈りと無縁ではない。その原点の沖縄がしだいに熱く体の中に甦るのが感じられる。
と馬場あき子先生からお言葉をいただいております。
バイクの試験 投稿者 まつなお
簡単に取れると言われ熱心に臨みしバイクの試験むずかし
四十五点合格にして我が得し四十二点の朽ち口惜しきかな
昆布入りのおにぎり食べて今は少しゆっくり眠ろうややに疲れぬ
チャンスかなピンチかもそうどちらかと言へばチャンスそう思はねば
※ 介護の仕事で坂道を上がるのが大変になりバイクに挑戦しています。
彼女は子ども二人を引き取り離婚 自立しています。
いきいき語る 投稿者 mohyo
観光に残されし壁東独のプライドもいふ女性ガイドは
女(おみな)ガイド柔道好きで日本語上手いきいき語るは未来のドイツ
油ゼミかわゆく足閉じ腹見せて昼の玄関にひとつ転がる
友太郎のいくつまで我は長らうやセミはまたまた高く鳴き継ぐ
※ ずっと働いてきて3月に退職 気がついたことは地域に密着していないなということです。
俳句で御免2003-8 投稿者 JUN
端居(はしゐ)して星の遠さを思ひをり
天球の谺(こだま)幽かに天の川
熒惑(けいごく=火星)の赤き愁ひや秋深む
向日葵(ひまわり)の生くる(いくる=生きる)に疲れ項垂(うなだ)るる
子へ手紙書くや夕べの凌霄花(のうぜんか)
火の上の輝く銀の秋刀魚かな
初陣の吾が為に焼く秋刀魚かな
(短歌で更に御免!)
火の酒に火を点けたれば薄青き炎冷たく我を照らしぬ
陽光やわらかに 投稿者 史人
聖堂の畳に陽光柔らかにステンドグラスの色を落とせり
墨塗りの教科書読みし小学生かの日からはや六十年となる
新憲法平和の理念描きつつ過ごせる我らを敗戦っ子と呼ぶ
牛乳を泡立て浮かす珈琲に妻の手捌き日毎に巧み
※ 奥村晃作先生講評
具体についたねんごろの表現のお作、納得しつつ読ませていただきました。
奥村晃作短歌教室の記録より mohyo
鬼火となり降下機の灯はゆれゆれるガラスドームに雨ながれつつ
石段をかろきおとたて駆けおりる今朝のバケットめざしてきみは
「うまそう」と声はづませてきみは読むデュマの書きたる「象の調理法」
講評
一首目 視覚的なイメージを大切にしている。ガラスドームということで場所はパリの飛行場。降下機の灯を鬼火というイメージで捉えたのがいい。
二首目 「長いフランスパン」とか言わず「バケット」で定型にうまく収まった。
三首目 「象の料理法」は最近発見された本であると、作者から説明があった。
三首共イメージがきわやかな作。また三首共に三句切れであるが結句の形が違うので類型化は免れている。
徒然エッセイ「母とのつきあい方」
台風が来るかもしれないので昨夜は雨戸を閉めて寝ました。
マンション暮らしだったせいか、雨戸を閉めない習性があります。
今朝はやく起きてこれを書いているうちにとうとう暖房を入れてしまいました。上着を着ても寒いのです。雨戸も閉めたままです。
こんな時母はどうしているかと思います。「そこに鳥がいるでしょう。私が高いところまで連れていって逃がしてやったのよ。パーっとうれしそうに飛んでいったのに昨日見たらまた帰って来ているのよ。見てきて。」
そんなことはありえません。でも私は見に行きます。「いなかったよ。」
「そう。」こんなことが3回ありました。
今度言われたら「いたいた。かわいいね。きっとおかあさんが気に入ってるんだよ。」といってあげようと思っています。
あとがき
「初めてのキャッチャーマスク
白球を受ける息子のユニフォーム光る 」(ゆ)