ふーしゃんの短歌ワールド
┏☆★☆━━━━━━━━━━━━18号 2002年6月6日 by もひょ ┓
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★☆★☆★ ふーしゃんの短歌ワールド ★☆★☆★
われわれは作品によってみずからの生を証明したいと思う。□ 宮 柊二 □
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次号は7月初旬予定
ふーしゃん(母)は短歌結社『多磨』の北原白秋に師事。『コスモス短歌会』 故 宮 柊二先生に師事現在にいたる。台北第一高女を経て台北師範卒。小学校教員を数年経験後,軍医であった父との結婚により退職。日本基督教団東京府中教会員。
銭湯の煙突 投稿者 ふーしゃん
銭湯の高き煙突を毀(こぼ)たんと一人の男突端に立つ
煙突を毀つ槌音重おもと高き空より響きくだり来(く)
加速度を持つコンクリート片落下して地の物に当る鋭き音に
noriさん
毀(こぼ)たんと=壊さんと、という意味であることは辞書で分かりましたが「こぼさん」ではなく「こぼたん」という使い方もあるのですね。勉強になります。
ふーしゃん
毀(こぼ)たんは、古語的な使い方だと思います。
欠け壷 投稿者 ひゃら
欠け壷の底に水霊眠るべしのぞけばむわっと霧ふく春日(はるひ)
もどりたき人生の場所あらざればこれより地上駆けぬける春
若き日の母が着物のたたみ方われと違えば折目に従う
不機嫌な夫のかたえに春真昼短く切りし髪洗いおり
noriさん
何れの歌も素晴らしく、言葉の使い方等洗練されていて勉強になります。
開けた時、目に飛び込んできた最初の一首は、ふーしゃんの歌かと思ってしまう程でした。
少女 投稿者 mohyo
3歳で母死亡して父入院 16歳少女の調査書にあり
『わたくしは普通がいい。』という少女何気ないとは思わずに聞く
noriさん
二首目の少女は一首目の少女でしょうか?
普通でいいとは、子どもにはなかなか云えない、色々な願望も有ろうに、それを抑えて「普通がいい。」と云い切る少女、如何にも今までの生活が苦しかったか、辛かったかがうかがえます。抱きしめて上げたい、そんな衝動に駆られます。
的外れでしたら、ゴメンナサイ。
秀子
私もnoriさんと同感です。
”普通がいい”などと言わせるにはあまりにも幼すぎ、胸苦しさを感じます。
母とともに(2) 投稿者 まつなお
神社過ぎ幼なき日々を過ごしたる宮西町まで来てしまひたり
昔住みし洋館の借家今は無く隣家残るに母は驚く
子ども等の洗濯物を抱え持ち坂道下る若き日の母
湧き水のあればそこまで通ひたる若き日の母貧しかりし日
mohyo
3首目 子供ら → 子ども等 に変更させていただきました。
供はお供という意味ですが最近は子どもの人格を尊重しお供という字は使わなくなっています。パソコンでも子どもとでます。
日程を合わせてはやくパソコン設定しましょうね。楽しみにしています。
noriさん
人は一度暮らした場所は何時までも忘れられないものですね。
湧き水の選択場まで通った母上様の苦労がうかがえます。
“子供”は使わない様にします。“ご父兄”も使わなくなりましたね。
幼子の 投稿者 秀子
幼子のなくて久しき吾が家の猫が障子を破るも可笑し
山野草を”実生で育てた”とう翁いとおしむごとごつき手に抱く
今日一日庭に遊びし白蝶の陽が傾きて何処に眠るや
本当はどんな生き方したかったのか、問うても叶わぬ過ぎし身なれば
mohyo
1.2.3首目ともにいい歌だなと思います。noriさんではないけれど歌えない自分がもどかしく思えます。
4首目今から・・・今から。
どう年を取っていくか課題はたくさんあります。過去は過去として肯定しこれからどうしようと考えるとき手持ちのカードをどうきるかを楽しみましょう。
noriさん
最近の家では障子を見なくなりましたね。
わが家でもガラス障子になってしまい障子は有りません。昔は障子貼りも結構楽しかったです。割と器用な方で上手かったですよ。今度貼りにいきます。
何れの歌にも最近更に磨きが掛かった様に思います。
新しい言葉 投稿者 noriさん
孫が手に葉っぱを持ちて「ジイちゃん、いいこと考えた」とふ新しき言葉
久々のパイプオルガン聴き入れば重厚な音五感をふるわす
秀子
純真無垢の小さなお孫さんへの愛おしさが込み上げてくる素敵なお歌ですね。目にありありと浮かびます。
みんなそういう時があったはず・・・・なのに・・・。
mohyo
パイプオルガンを2回ほど聞いたことがあります。ピアノが出来る前の音でバッハの作品や教会音楽が流れました。今よりユックリ時が流れた時代のことです。最近聞いた話しですが現代人は呼吸が早いそうです。
このころの時代は今が15回とすると5回くらいのユックリさで呼吸していたそうです。環境も悪いので何回も呼吸が必要なのかもしれませんがキレル若者は皆呼吸が早いそうです。戦闘的になるのはあたりまえですよね。交感神経が刺激されているのですから。
兄 投稿者 オードリー・テル
療養所のパテオの桜ふくらみて退院近き兄を見舞ひぬ
病廊の黄色の線は血縁の兄のふします棟へと続く
留守なりし兄の書斎に薄陽さしシィーンと動かぬ真昼の空気
mohyo
ようこそおいでくださいました。これからの投稿楽しみにしております。オードリー・テルさんは6月にご自分専用のパソコンがくるそうです。
noriさん
noriさんです。
この家は大変居心地が良いので、いつも長居しています。短歌歴の長い方と察します。今後ともよろしく。
秀子
初めまして!
3首目の ”シーンと動かぬ真昼の空気”が主のいない部屋の空間(淋しさ)を巧みに表現していると思います。
俳句で御免2002-5 投稿者 JUN
束の間に去(い)ぬる素早さ蝸牛(かたつむり)
古(いにしえ)の弁慶井戸の青蜥蜴(とかげ)
揚雲雀(あげひばり)草の穂波の風に乗れ
後追へど見たこともなし雲雀の巣
鐘楼(しょうろう)を背にして牡丹(ぼたん)閑(しずか)なり
noriさん
どの句も逸品と思いますが、第一句と最後の句がとても良いと思います。
mohyo
蝸牛・青蜥蜴・雲雀など小動物を的確に捉えていてぬるぬるした感じも思い出させてもらいました。牡丹って最近鉢植えで咲かせている方が多くなりましたが地べたに植えられている牡丹のある庭は羨ましいです。
あとがき
今日梅を漬けた、秋に美味しい梅干しになるよう祈りながら。。
梅の甘酸っぱい匂いを子どもたちに嗅がせながら、久しぶりに季節を感じた。
(ゆ)